2012年2月21日火曜日

グライドボーンの「愛の妙薬 」

底抜けに楽しいイタリアオペラは何かと聞かれたら、ボクはドニゼッティの「愛の妙薬」と答えるだろう。 イタリアに行けばオペラは限りなくさまざまだろう。 しかし、オペラ通ならともかく、ボクにとって「楽しいオペラ」と言えばロッシーニとドニゼッティ、ヴェルディの「ファルスタッフ」、それと昨年聴いたゴルドー二の戯曲をフェラーリがオペラ化した「イル・カンピエッロ」くらいしか見あたらない。

 そういえば、オペラを楽しむならドニゼッティかロッシーニ、そしてベルーニでしょうと教えてくれた人がいた。 今日はそんな、ドニゼッティーの「愛の妙薬」を堪能した。 恋に落ちた男は100パーセントみな、このオペラのネモリーノと同様喜劇的だ。
 しかし、ここで笑ってはいけない、男の愛とはいつもこのように一途で可愛いもの。 
そんな普遍的?な男の話しだが、このオペラのように最愛を得ることが出来る男は多分10パーセントに満たない。
 そして、また新たな恋へ、涙を拭い、男は喜劇的にさまよいつづける。
 結果的に悲しいのがいつも男の恋だが、このオペラは悲劇ではない。 なんとも羨ましいではないか、オペラのネモリーノは最愛のアディーナの愛を得ることに成功する。

 男たるものこのオペラが歌い上げるネモリーノの愛を見習わなければならない。 題名は「愛の妙薬」。 しかし、それは決していかさま薬売りリドゥルカマーラが売る惚れグスリのことではない。 「妙薬」は神話にあるクピドと同じ。
 射抜かれてくだけるのではなく、真なる恋人アディーナを射抜く「強さ」を持たなければならない。 いや、強さではないな、なんだろう。 
とまぁ、バカなことを言っているが、このオペラは傑作だ。
ボクにとってはシモンとは両端にある、大好きなオペラだ。 今日、大画面でこのオペラを楽しんだ。

 メディアは2009年グライドボーン音楽祭。 キャストは以下。 
【作曲】ドニゼッティ Gaetano Donizetti/
【指揮者】マウリツィオ・ベニーニ Maurizio Benini/
【演出】アナベル・アーデン Annabel Arden/
【出演者】エカテリーナ・シューリナ Ekaterina Siurina,/ピーター・オーティ Peter Auty  

このキャストリスト、ボクには初めての歌手ばかり。
そもそもグライドボーンの作品を見ることが少ないからだ。 しかし、この音楽祭の評判は良く知っている。 ただ、いつもモーツアルトかドイツものと思っていたが、今日は抜群に楽しいイタリアのベルカントの華「愛の妙薬」。
 主役脇役すべて歌手たち、みな素晴らしかったが、気がついてみると、イタリア人は一人もいなかったのでは無いか。 
舞台の雰囲気は原作のスペインでもなければイギリスでもない、どこかイタリアのイル・カンピエッロだろうが不思議な雰囲気。 
客席に平行ではなく45度に振った広場と建物、その構成は大胆で不思議を通り越し、多いに成功している。 沢山の登場人物が出たり入ったり、そして明かりがついたり消えたり、まさにイタリアの小広場が生き生きと浮かび上がっていた。
 さらに褒めるならば、字幕の対訳も楽しめた。 このオペラの楽しみはイタリア語と音楽の関係に違いない。 

イタリア語がわからないボクには致しかたないことだが、わかれば言葉と音楽のハーモニー、もっともっと楽しめたはずだ。
 しかし、対訳は緻密に音楽を追っている、また訳からも言葉と音楽は重なって聴こえる。 これはとても大事なこと、入念にこの映像を日本語化してくれているのが良くわかる。
 そして最も楽しかったのが、まさにこのオペラの華クピド役?、薬売りリカドゥルマーラ役の歌手の歌と演技だ。
 まだ調べきっていないのでこの歌手の名前は書けないが、彼の歌と演技にはただただ圧倒され、楽しまされた。
 ここのところオペラ三昧の毎日。 映画でもいい、こんなに楽しめるのならば。
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